大きな声では言えませんが、
太陽光発電システムは脱炭素とは相いれないと思っています。
あくまでも私見です。
目次
1.脱炭素社会の実現とは
我が国は2020年10月に2050年カーボンニュートラル宣言を行い、2021年4月には2030年度に2013年度比で温室効果ガス46%削減を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていくことを表明しました。また、2021年5月には改正地球温暖化対策推進法が成立し、「2050年までの脱炭素社会の実現」が基本理念として法律に位置付けられました。
環境省㏋より
日本の2030年度温室効果ガス削減目標の達成の鍵となるのが、太陽光発電の導入であると環境省は言っています。
これを受けて、各地方自治体等が太陽光発電の導入を積極的に呼びかけ、補助金などの制度を設けて促進に力を入れているのはご存知でしょうか?
さらに、東京都では、新築住宅等への太陽光発電設備の設置、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度を創設し、話題になったのは記憶に新しいと思います。
実はこの、「脱炭素社会の実現」に対する国の方針に、疑問を感じているのはわたしだけではないようです。
2.町の電気屋さんが推奨していない「太陽光発電システム」
現在、国を挙げての太陽光発電システムの導入の施策ですが、町の電気屋さんは全く推進していません。
これは、費用対効果、という意味のようです。
年々売電価格が下がり、買電価格は上がっています。
発電量は地域差もあり、一概に発電量は特定できませんが、初期費用とメンテナンスにかかる費用が、売電を上回る場合も多いです。
太陽光発電システムを導入すると儲かるという時代も、以前はありましたが、現在はそう言い切れません。
蓄電設備がもっと安価になり、一般化してくれれば今よりも太陽光システムを導入するメリットは上がりそうですが、今のところその見込みはありません。
しかし、ここまでの話は国も承知の上で、国民の得にはならないけれども、とにかく脱炭素社会の実現のためにシステムを導入することが望ましいと言っているのです。
たしかに、屋根や駐車場に太陽光発電を設置し、その電力を建物内で消費する、いわゆる自家消費型の太陽光発電の導入により、建物でのCO2削減はもちろんのこと、停電時にも一定の電力使用ができるため、防災性の向上にも繋がります。
ただ、この太陽光発電システムを作るためのエネルギーを莫大に使い、資材を使い、工場では炭素を垂れ流していることには、なぜか政治家の皆さんは無関心のように見えます。
3.「太陽エネルギー」に「太陽光発電システム」は不要。
間違ってはいけないのは、太陽エネルギーは太陽光発電システムがなくても享受できるということです。
太陽はいつだって分け隔てなく大地に降り注ぎ、私たちを明るく照らし、作物を育て、エネルギーを循環させてくれます。
「太陽建築」別名「パッシブソーラーハウスシステム」という研究があるのをご存知でしょうか?
パッシブソーラーでは、太陽光発電や太陽熱温水器などの機器を極力使わず、「南側に大きな窓を設ける」「夏の強い日差しを避けるためにひさしを設ける」といった具合に、通風や採光を計算して建物そのものの形を工夫する。さらに、「太陽建築」では断熱や蓄熱に効果のある建材を配置することで、冷暖房や給湯、調理などに使うエネルギーを減らしつつ、冬は暖かく、夏は涼しい室内を目指す。
朝日新聞オンラインより抜粋
この研究は画期的なわけではなく、文明という文明がなかったころから、脈々と当たり前に人々が取り組んできたことを、さらに合理的に取り入れるための研究です。
この研究によれば、太陽エネルギーで60°程度のお湯を沸かすこともできます。
窓の向きや大きさ、庇の出などを適正にすることで太陽光をできる限り取入れ、日中はどのお部屋にいても電気をつけなくてもいいくらい明るさを保てるよう設計できます。
壁や床、窓の建材を工夫して蓄熱や調温に利用することで、限りなく電気エネルギーを使わないで済む建築物を作ることができるようになります。
わたしもこの「太陽建築」に出会ったのはごく最近なのですが、とても理にかなっていて、ぜひこの考え方は自分の人生に取り入れたいと思ったものです。
これが、正しい「脱炭素」なのではないかと思う一方、この脱炭素の政策に絡む利権がある限り、国の方針は変わることはないのだろうとぼんやり思っているところです。
というわけで、町の電気屋さんとは違うアプローチから太陽光発電システムの必要性を考えてみましたが、結論は、私も、町の電気屋さんと同様、太陽光発電システムの各家庭への導入はお勧めしないという結論になりました。
4.問題をすり替えずに、問題解決に取り組んでもらいたい
10年以上前ですが、理系の大学の教授がおっしゃっていたことです。
省エネのために、いかにエネルギー効率のいいエンジンを作るかを研究するのが自分たちの研究だ。
しかし、友人の文系の教授は、「省エネしたいなら一台の車に乗り合わせればいいじゃないか」と言っていた。
目からうろこだった。
わたしもこの話を聞いてとても興味深かったのを覚えています。
この教授二人はこの頃、環境科学の共同研究をされていましたが、現在はすでに退職されています。
彼らの功績は、文系理系にとどまらず、意見を尊重しあうことを教えてくれたところだと思います。
彼らのスピリットを後継する研究者がこれからの脱炭素やエネルギー問題を根本的に解決する道を模索してくれることでしょう。
こういう研究に国は税金を使ってほしいですし、
政策の方針も、もっと多方面からの視点をもって検討してもらいたいと、
なにものでもないわたしが、考えているのでした。
5.結論
太陽光発電システム≠脱炭素
太陽光発電システムは脱炭素とは相いれないという結論です。
あくまでも私見です。