中古住宅を購入し、リフォームして住みたいお客様と共に現地調査に伺ったら、ひさしぶりにえらい面白い(?)困った物件に出会った話。
目次
1.中古住宅の価値
その物件は、町の中心部にあり、近隣の環境も良く、土地の価値は高めでした。
おそらく新築当時はかなりの金額で建てたと思われる建物は、いまだ健在で、あちこち修繕の必要な個所はありましたが、建物とし
てはしっかりした造りでしたし、修繕すればまだまだ十分使える建物でした。
当然、この空き家の売値は相場より相当お高かったです。
ここまで見た感じだと、価値が高い不動産のように感じるかもしれませんが、実際はもっと奥が深いです。
正直に言うと、この建物に価値を感じる人は少ないと、空き家のお医者さんは考えました。
2.現況だけでなく、将来もふくめた修繕費も考慮して価値を考える
内覧を終えたお客様は、「自分の身の丈には合わない。」と判断し、購入には至りませんでした。
これはまったくそのとおりで、あまりにも修繕と、維持にお金がかかりすぎるのが原因です。
お客様は、「リフォームに1,000万もかかりそう」と言っていましたが、空き家のお医者さんの見立てでは、正直、もっとかかります💦
なにしろ、間取りがひどい!
・店舗併用住宅で、店舗と住宅の行き来はトイレから!?
・店舗からトイレを経て、主寝室!?
・お風呂場は主寝室からしか行けない!?
・広すぎるリビングは吹き抜けになっていて、階段室と2階廊下と一体で冷暖房どうなってるの!?
・リビングからいけるトイレは広く、洗濯室と物干し場と兼用!?
これまで見たことないレベルで住みにくい間取りでした。
一つ一つのお部屋はどこも豪華で、建材や照明もとても凝っている造りでした。
わかりやすくお金がかかっています。
しかし、このままの間取りでは、当たり前の生活すらできません。
ゆたかに過ごせる家づくりをするためには間取りも大幅に変える必要がありそうです。
間取りも変えての大規模な改修は、リノベーションと言われて、最近ブームとなっています。
新築するより安いという明確な理由があって選ばれている手法です。
ですのでリノベーションは新築よりもお金がかからないことが大前提となるのです。
この物件は、売値が高かったので、修繕費用を押さえないと、購入する意味がないということになります。
しかし、先ほどお話した通り、この物件の修繕にはかなり費用が掛かり、結果的におよそ新築並みか、それ以上にお金がかかりそう
でした。
これではこの物件を買う理由はありませんよね?
お客様の判断は的確だったと思います。
3.見えないリフォーム費用
一見して、間取りの変更や、汚れた内装の張り替え、必要であればキッチンや浴室などの住宅設備の交換などが目に見えて必要です。
それから、外部のほうも、屋根や外壁の修繕、お庭の手入れ、駐車スペースの確保など、必要に応じて行う必要があります。
そして、問題なのは、一般的に見えないリフォーム費用です。
ひとつは、水回りの配管です。
築30年を超えるお宅だと、当時は配管に鉄管や銅管を使っています。
特に空き家の期間が長かった場合、配管に穴が開いたりさびていたり、劣化がすすんで弱くなっていることが予測されます。
なので、錆水が出たり、お湯の配管は特にすぐに水漏れする可能性が大きいです。
この配管をすべて交換となると、思った以上にお金がかかる場合がありますので注意が必要です。
そしてもうひとつは、シロアリです。
シロアリの駆除には一定の費用が掛かります。
こればかりは予測できませんが、おそかれはやかれ駆除すると考えて、駆除の費用程度はあらかじめ予算に入れておいてもいいかもしれません。
さらに、土台の腐食や、シロアリ被害の修繕が必要になる場合もあります。
むかしのタイルぶろや、タイルのトイレなどは、修繕費もそもそも多くかかりますし、ひび割れから水が浸水し、土台や柱の木材が腐食している場合があります。その場合はその木材を交換するなり、補強するなり、措置が必要になります。致命的な欠陥には至らないにしても、予想外に費用が発生する場合があります。
そして、放置された空き家あるあるですが、お庭は荒れ放題で草木はボウボウ、庭木も伸びきっていて雑木林のようでした。住宅にはNGとされている竹も植えてあったり、片隅にはお地蔵さんまでおいてありました。
木を剪定するだけなら安く済みますが、毎年継続して剪定費用が掛かります。
お庭が必要ないのであればお金をかけて伐根し、継続して費用が掛かることが内容にすることも一つの方法ですが、生木の処分や、根っこの処分、残土の処分は驚くほど高額な費用が掛かります。
このお宅の場合はお庭の整理だけでも結構な資金が必要だったと予測しています。
4.資金計画が大事
中古住宅を購入して、リノベーションをされるお客様が増えています。
前章でも触れましたが、中古住宅は新築と違い、古い部分や使えない部分を直したり、交換したりして家づくりを行います。
お客様は、希望がふくらみ、ご予算のギリギリまで使い切って計画を立てられる方が多いです。でも、工事中に、必ずと言っていいほど、要望が増えたり変わったりします。追加料金がかかることももちろん出てくるものです。
さらに、中古住宅は、目に見えない修繕箇所が出てくることが大いにあり得ます。
なので、余裕をもった資金計画を事前にすることをお勧めしております。
5.余裕を持った資金計画の上での物件購入
リノベーションは思わぬ費用が発生した場合に備えて、余裕を持った資金計画が必要です。
なので、そのためには購入物件の見極めも特に重要になります。
出来る限り問題が起こりにくそうな物件を選ぶ、リフォーム費用が必要以上にかからなそうな物件を選ぶ、総資金から引き算して、物件費用と修繕費用のバランスが取れる物件を選ぶことが重要です。
今回、拝見した物件は、とても立派な格式の高い物件ではありましたが、この、バランスが全く取れない物件だったということで、購入には至らず、お客様自らが気づいてくださったことに安堵しています。
お金が足りないですよ
って、私の口からはなるべく言いたくないですもんね。
久し振りに見た、というか、過去イチと言っていいほど、面白間取り物件でした☺
6.物件選びと資金計画の際にはセカンドオピニオン
物件の購入や、理想の住まいづくり、業者選びなど、絶対に失敗したくないですよね?
そんな方に向けて、空き家のお医者さんは、セカンドオピニオンのサービスを提供しています。
詳しい内容は下記のとおり記事にしていますので、お役立ていただきたいです☺
みなさんのお家づくりを応援しています🌈🌈🌈
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